はじめての低FODMAPシリーズ

帆秋 慎太郎(Monash低FODMAP栄養士コース修了)
2022.07.19 22:04

こんなおなかの不調はありませんか?(はじめての低FODMAPシリーズ①)

(このページの更新日:2022年8月9日)

「こんなおなかの不調に注意!」の画像です

下痢や便秘、お腹が張ったりガスが出たり…

「おなかの調子が悪いな」と感じることはありませんか?

もしそんな症状が数か月に渡って続いたり、繰り返し起こる場合はIBS(過敏性腸症候群)の可能性があると言われています。

はじめての低FODMAPシリーズではIBS(過敏性腸症候群)や、IBSの食事療法である低FODMAPダイエットについて複数回に分けて解説します。

初回となるこの記事ではIBS(過敏性腸症候群)の概要や症状をチェックする上での注意点を解説します。

IBS(過敏性腸症候群)について

今日もおなかの調子が良くないなぁ…。
もう今月で3回目だ。私のおなかどうしたんだろう?

それ、IBS(過敏性腸症候群)かもしれませんよ。

わっ、びっくりした!何その過敏性なんとかって?

IBSっていうのは、下痢や便秘を繰り返したり、 おならがたくさん出ちゃうような病気のことだよ。

IBSとは大腸に関する様々な症状が数ヶ月にわたって続いたり、くり返し起こったりする病気です。

主な症状は以下とされています。

  • 腹痛
  • 腹部の不快感
  • 下痢や便秘

冷たい物を食べすぎて下痢をするなど、健康な人でも普段の生活の中で経験する症状ですが、IBSの場合は症状の本人には直接的な理由が思い当たらないことや症状が短期間で治らないことがあります。

世界的にはおよそ10人に1人、日本では6~13%の人がかかっているとされています。

その一方で、自分がIBSだと自覚している人は多くないかもしれません。

理由の一つとして、IBSは内視鏡検査などをしても「原因と思われる異常(炎症など)が腸の中に見当たらない」という特徴があります。

そのため、通常の検査では「異常なし」とされてしまうケースもあります。

また、IBSは生命に関わらない病気なので、他の病気や問題よりも後回しにされてしまう側面もあります。

しかし、IBSの人はおなかに悩みを抱えながら生きることで、生活の質(QOL)が低下するという問題に直面しています。

自分の体や病気についてよりよく知ることで、悩みを解消しQOLを改善させられる可能性があるかもしれません。

え〜、わたし病気なの?

このリストの中に4個以上当てはまることがあるとIBSの可能性が高いって言われています。

おなかの調子のチェックシート

「おなかの調子のチェックシート」の画像です

(ページ下部の参考文献①、④、⑤、⑦を元に当サイトで作成)

4つ当てはまる!IBSの可能性があるってことね。

自分がIBSだと思う前に(IBSの診断について)

腹痛や下痢、便秘などの症状があるからといって安易にIBSだと決めつけてしまうのは危険です。

同じような症状が他にも様々な病気で起こるからです。

具体的には以下のような病気の可能性もあります。

  • 潰瘍性大腸炎(かいようせいだいちょうえん)
  • クローン病
  • 大腸がん
  • 感染性腸炎(かんせんせいちょうえん)
  • 大腸憩室症(だいちょうけいしつしょう)
  • 腸閉塞(ちょうへいそく)

これらの中には指定難病なども含まれるので、不調が治らない場合はまずは病院に行って検査をしてもらいましょう。

IBSの場合は、上記のような重い病気でないか、腸に炎症などの異常が認められないか、などの可能性を1つずつ取り除いてから、最終的な診断が下されます。

この方法を「除外診断」と言い、正式な医療機関で行ってもらう必要があります。

からだに不調がある場合は当サイトの情報だけで判断せず、医師の診断を受けるようにして下さい。

なるほど!
でも病気だとしたら治し方があるってことよね!?
そっちも聞いてみたいな。

前向きですばらしいですね!
くわしくはお医者さんに聞いてみよう!

「次のページへ」の画像です

参考文献

①鳥居明、『図解 よくわかる 過敏性腸症候群で悩まない本』、株式会社日東書院本社、2020年、8-11、14-23、40-41、56-59

②日本消化器病学会、『機能性消化管疾患診療ガイドライン2014ー過敏性腸症候群(IBS)』、2014年、2-3、14

③日本消化器病学会、『機能性消化管疾患診療ガイドライン2020ー過敏性腸症候群(IBS)(改定第2版)』、2020年、2-3、92

④江田証、『腸を治す食事術』、株式会社新星出版社、2020年、25

⑤伊藤克人、『いちばんわかりやすい過敏性腸症候群』、株式会社河出書房新社、2020年、10-11

⑥江田証、『パン・豆類・ヨーグルト・りんごを食べてはいけません』、株式会社さくら舎、2017年、23-32

⑦江田証、『自分で治す過敏性腸症候群の本』、株式会社宝島社、2017年、10、58-59


このページの監修者

塩田 純也

長崎大学病院消化器内科 助教

大分県出身、大分大学医学部を卒業。

2014年長崎大学消化器内科に入局。

2017年アメリカミシガン大学へ留学し基礎研究に従事する。

2020年に帰国、長崎大学病院で炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎・クローン病)を専門とし、幅広く診療を行っている。

炎症性腸疾患患者さんが家庭で実践できる栄養療法について、医師・薬剤師・栄養士と多職種で連携し、患者さんに寄り添った診療を目標に日々奮闘中。

この記事を書いた人

帆秋 慎太郎(Monash低FODMAP栄養士コース修了)
帆秋 慎太郎(Monash低FODMAP栄養士コース修了)
東洋物産株式会社 丸寿産業株式会社 代表取締役社長

大分県で卵・業務用食品の卸売業を営む会社の3代目。
2020年、自身がIBSであることをきっかけに低FODMAPに関する事業準備を開始。
2022年、低FODMAPに関する情報サイト『みんなの低FODMAPひろば』を立ち上げ。
同2022年、おなかを気づかう人のためのスイーツブランド『LOFOMA+(ロフォマプラス)』の展開をスタート。
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