FODMAP公開記事

- 帆秋 慎太郎(Monash低FODMAP栄養士コース修了)
2024.05.08 14:18
牛乳が苦手な方へのオススメの飲み物をご紹介!管理栄養士が監修
(このページの更新日:2024年5月8日)

日本では牛乳を幼少期から食生活に取り入れる家庭が一般的です。
スーパーやコンビニエンスストアでもたくさんの種類の牛乳が販売されており、多くの人に日常的に親しまれています。
しかし、日本人の中には牛乳を飲むとお腹の調子を崩す人もいると言われています。(1)
この記事では牛乳がお腹の不調を招く主な原因と、替わりとしてお勧めの飲み物について解説します。
牛乳による不調と関わりがあるFODMAP(フォドマップ)についての情報も掲載します。

このページの監修者
竹内 寿美恵
管理栄養士・フードアナリスト講師
保育園栄養士・スポーツ栄養士・国立病院にて臨床栄養を経験し、栄養士・管理栄養士業務として17年従事。
さまざまな経験を積む中で、ストレスの軽減をし心身共に幸せな生き方をしたいと心に決める。
自然で幸せに暮らすための知識をより深く学ぶため、2015年〜2020年の間に3回に渡りインドネシアにてベジタリアン・ヴィーガン・ローフードなどの栄養学の留学をする。
現在はフリーランス管理栄養士として、年間3000件の栄養指導業務、監修、セミナー講師、メディア出演、健康ライター・商品開発・企業コンサルティングなど幅広く活躍している。
牛乳でお腹がゴロゴロするのはなぜ?
牛乳を飲んだ時などに起こる不調の原因の1つと言われているのが「乳糖」です。
乳糖は動物から取れた乳に含まれる炭水化物の一種で、牛乳やヤギミルクなどの動物性乳製品に含まれています。
乳糖が含まれている乳飲料を飲むと、腹部のハリや痛み・下痢や食欲不振などを感じるケースがあります。

通常、乳糖は小腸にある「ラクターゼ」という酵素により分解されます。
分解された乳糖はブドウ糖とラクトースになって私たちの体の中で吸収されます。
一方、牛乳を飲んでお腹がごろごろするという体質の場合は、体内のラクターゼで乳糖を分解できない場合が多いと考えられています。
分解できなかった乳糖は小腸に送り込まれ、余った乳糖の一部が発酵し大量の乳酸を生成します。
乳酸やその他の有機酸が多くなることで、大腸内の水分量が多くなりお腹の痛みや下痢へ繋がります。(2)
乳糖の分解が追いつかなくなるのにはいくつかの理由があります。
日本人に多く見られるのは、乳糖を分解する酵素のラクターゼ不足です。
幼少期から成人になる過程でラクターゼが減少し、牛乳を飲んだ時のお腹の張りにつながるといったケースが多いと考えられています。
牛乳を飲んだ時の不調の原因として他にもタンパク質などがありますが、この記事では乳糖に主な焦点を当てて解説します。
乳糖の分解には消化酵素のラクターゼが必要なんだね。
ラクターゼが不足していると牛乳に含まれる乳糖を腸で分解しきれず、
お腹がごろごろしてしまうんだ。
乳糖を低く抑える「低FODMAP食事療法」

お腹のごろごろを和らげる方法はないのかな?
海外では「低FODMAP食事療法」というのが注目されているよ!
FODMAP(フォドマップ)とは、小腸で消化されにくく、大腸で発酵しやすい糖質をまとめた呼び方です。
過敏性腸症候群(IBS)の人には消化しにくいFODMAPを多く含む食品を食べることで、お腹の不調につながることが近年研究結果からわかってきました。(3)(4)
先程、話題にでた乳糖もこのFODMAPの一種なので、牛乳を飲むことがお腹の不調を引き起こす要因になることがあると考えられます。
低FODMAP食事療法を通して乳糖の摂取量を減らすことができると言えます。
牛乳の替わりの飲料のメリット/デメリット

牛乳は料理に使用したり、嗜好品として楽しむ方も多く、食生活からすべて取り除くことが難しい方も多いのではないでしょうか。
そういった場合は、ご自身の体調や生活スタイルに合わせて、お腹の負担になりにくい牛乳の代わりとなる飲料の活用をお勧めします。
代替飲料を生活に取り入れる最大のメリットは、乳糖が原因となるお腹の不調から解放されることです。
また、代替飲料を上手に使用する事で、お腹の不調への不安を考えずにお料理を楽しむことができます。
一方で、代替飲料を生活に取り入れることは日本ではデメリットもあります。
1つ目は、スーパーなどで代替飲料の選択できる種類がまだ少なく価格も牛乳より高い物が多いという点です。
2つ目は、代替飲料に切り替えをしても必ずしもその選んだ飲料が自分の体に合うとは限らないケースが考えられます。
今回ご紹介する代替飲料を参考にして、ご自身の体に合う内容を選び生活に取り入れていきましょう。
これから紹介する代替飲料は、FODMAPの観点も踏まえて解説していきます!
1. 低乳糖ミルク

牛乳がお腹の不調に繋がるのは、過敏性腸症候群の人は牛乳に含まれる乳糖を分解しきれないことが1つの要因と説明しました。
低乳糖ミルクとは、あらかじめ乳糖をブドウ糖とガラクトースの単糖類に分解した牛乳です。(5)
乳成分に含まれている乳糖が製造の段階で分解され、腸内での消化吸収に負担をかけにくくなっています。
低乳糖ミルクのメリットは、牛乳の栄養素や美味しさをしっかり感じられ、違和感なく通常の牛乳から変更できる点です。
多くの牛乳代替飲料の課題はカルシウムの含有量が少なくなってしまうことですが、低乳糖ミルクは牛乳同様のカルシウムが含まれるため、栄養素もしっかり体に取り入れられます。(6)
低乳糖ミルクは量に注意
2024年5月時点では、国内の低乳糖ミルクを調べると、大凡8割程度の乳糖を分解した物が流通しているようです。
低FODMAP食事療法にも少量から取り入れることは可能だと考えられます。
ただし、全ての乳糖を分解をしているわけではないことに留意しておきましょう。
量を多く飲んだり、お腹の調子が悪い時に飲むとお腹の負担になる可能性もあります。
また、乳糖を全て分解した牛乳は「ラクトースフリーミルク」と呼ばれますが、2024年5月時点で日本国内での一般的な小売店での販売は確認できませんでした。
海外では多くあるので、今後国内でも販売されると嬉しいですね。
低乳糖ミルクは少なからず乳糖を含むので体調をみながら少量から利用してみましょう。
2. ライスミルク

ライスミルクは、その名の通りお米を主原料とした植物性のミルクです。
アレルギーや健康志向、環境への配慮から従来の牛乳に代わる選択肢として、近年注目を浴びています。
製造過程はシンプルで、お米と水を混ぜ合わせ、煮詰めた後に濾過し、濃度を調整することで出来上がります。
お米の種類によっては、特有の甘みや風味が感じられることもあります。
ライスミルクには様々な栄養素が含まれており、特に牛乳に比べて糖質が多く、タンパク質や脂質が少ないという特徴があります。
また、植物性ミルクとしては珍しくカルシウムが自然に含まれていることも魅力の一つです。
ライスミルクは低FODMAPだけど添加物等に注意
ライスミルクはお米と水から作られているので低FODMAPな飲料ですが、市販されているものの中には糖分や添加物が含まれる場合もあります。
選ぶ際は無添加のものを意識するとより安心して使用できるでしょう。
ライスミルクは牛乳の代替として使いやすそう!
カルシウムが含まれているのが嬉しいですね!
3. アーモンドミルク

アーモンドミルクはアーモンドの粒を粉砕し、水分を加えてミルク状にした植物性のミルクです。
植物由来のため、乳糖は含まれていません。
アーモンドミルクはふんわりとした甘さと香りがあり、牛乳の代わりにラテなどに合わせることもできます。
さらに、アーモンドミルクはコレステロール0であり、オレイン酸という良質な脂質が豊富です。(7)
オレイン酸は悪玉コレステロールを低下させる効果があるとして知られている成分です。(8)
また、ナッツ類の中でもカルシウムやマグネシウムが豊富なため栄養素も充実しています。
アーモンドミルクは低FODMAPだけど添加物等に注意
原材料のアーモンドはFODMAPが多く含まれており高FODMAPとされています。
しかし、アーモンドミルクは水分を加えて作っているため、含まれているアーモンドの量も多くありません。
そのため低FODMAPな飲料として考えられていますが、添加物に高FODMAPな成分が含まれていないかは注意した方が良いでしょう。
アーモンドミルクにもさまざまな種類があり、中には糖分や添加物が含まれる場合もあります。
選ぶ際は無添加のものを意識することで、より安心して牛乳の代わりとして使用できるでしょう。
アーモンドミルクも牛乳の代替として使いやすそうですね!
添加物に注意して体に合うものを選びましょう。
4. ココナッツミルク

ココナッツミルクはココヤシ果実の内側の白い果肉の部分を削り、水を加えて作った植物性のミルクです。
東南アジアでは料理やお菓子などさまざまな場面で活用されています。
ココナッツミルクの主な栄養成分は、中鎖脂肪酸と言われる脂質で、通常の脂質の代謝経路と異なります。
素早くエネルギー源として利用されるため体に脂肪がつきにくい油としても人気が高いです。(9)
ココナッツミルクのメリットは、植物性でありながら、脂質の含有量も多いため深い味を作り出します。
ココナッツミルクには多くの使用方法があり、一晩水切りを行うとココナッツクリームになり、泡立てることで乳製品の生クリームのように扱えます。
ココナッツミルクは低FODMAPだけど添加物等に注意
ココナッツミルクは基本的には低FODMAPですが、添加物には注意が必要です。
油分の多いココナッツミルクは、ココナッツクリーム層と、水分に分離してしまうことを防ぐために、乳化剤などの添加物を使用している商品もあります。
ココナッツミルクを購入する時は添加物のないオーガニックや無添加の商品選びをオススメします。
ココナッツミルクは、脂質が多くカロリーが高くなってしまう点や、FODMAPも少量ではあるものの含まれているため、摂りすぎには注意が必要です。
ココナッツミルクは低FODMAPなんですね!
選ぶ際は無添加のものがベストです。脂質が多いことにも注意しましょう。
5. A2ミルク

A2ミルクとは、一般的な牛乳とタンパク質の構成が異なる牛乳を指します。
牛乳のタンパク質成分の約8割を占めるカゼインタンパク質にはA1タイプとA2タイプの2種類があります。
一般的にはホルスタイン種の牛乳ではA1タイプの割合が多く、ジャージー種やブラウンスイス種の牛乳ではA2タイプの割合が多いと言われています。
A2タイプのカゼインタンパク質を多く含む牛乳がA2ミルクと呼ばれています。
A2ミルクの良い所は、A1タイプのカゼインタンパク質を多く含むA1ミルクよりお腹に優しいと言われている点です。
その理由はA1ミルクが分解されるとBCM-7というタンパク質が作られることにあります。
BCM-7が小腸での消化を遅らせることがわかっており、腸内環境や腸内の炎症に影響があるのではないかと言われています。(10)(11)
A2ミルクは消化管に炎症を起しにくいミルクとして、オーストラリアやニュージーランド・中国などの海外で注目が高まってきており、牛に遺伝子検査をして、A2ミルクが作られている牛からミルクを搾乳しています。
日本ではA2ミルクを販売しているお店は多くはないのが現状です。(12)
海外では一大市場になっていることから、日本でも今後の販売の拡大が望めるかもしれません。
A2ミルクはお腹に優しいけど乳糖は含まれている
A2ミルクは代替飲料ではなく牛乳そのものをタイプ分けしているので自然な牛乳と言えます。
カゼインタンパク質がA1とA2のタイプに分かれているだけで含まれる栄養素は大きな違いはないため、カルシウムなど牛乳と同水準の栄養素を摂取できます。
乳糖も含まれている点には注意が必要で、FODMAPの観点から見ても高FODMAPと考えられます。
摂取量については、1食あたり1カップ程度で1日2〜3杯程度の量が目安として望ましいと考えられます。
A2ミルクはお腹にやさしいけれど高FODMAPなんだね。
体調やご自身の体質にあった量でA2ミルクを活用していきましょう。
6. 豆乳

豆乳は大豆を主な原料とする飲料で、乳糖が含まれていないのが特徴です。
タンパク質や大豆イソフラボンが豊富に含まれ、牛乳より低脂質・低糖質なことからよりヘルシーな代替飲料として考えることができます。
小売店などでも取り扱いが多く、比較的安価で入手しやすいというメリットもありますが、大豆が高FODMAPな点は注意が必要です。
豆乳はヘルシーだけど基本的に高FODMAP
豆乳には2種類の製法があり、1つは大豆を粉砕し水分を加えてミキサーで混ぜ合わせるという日本で多く作られている製法、もう1つは大豆そのものではなく大豆抽出物から作る製法です。
この2つは一見同じ豆乳にも思えますがFODMAPでは高/低の判別が異なります。
日本の豆乳は高FODMAPが多いと考えられます。
大豆そのものから作られた豆乳にはFODMAPであるガラクトオリゴ糖が多く含まれるため、過敏性腸症候群の人には合わないことがあると言われています。
大豆抽出物由来の豆乳は加工時にガラクトオリゴ糖が除去されるためFODMAP含有量が少ないのが特徴です。(13)
日本で主に販売されている豆乳は、大豆そのものから作られた高FODMAPなものが主流と考えられ、繊細なお腹の人の場合は自身のお腹に合っているかをよく確認する必要があります。
日本で主に販売されている豆乳は高FODMAPなんだね。
乳糖が含まれていない点ではお腹にやさしいけれど、ロフォマーさんにとっては注意が必要です!
7. オーツミルク

オーツミルクはオーツ麦に水分を追加して水分と繊維を分けることで製造されます。
オーツミルクはクセのない味なので、ラテなどを作る際に使用しやすく牛乳代替品として活用できるのがメリットです。
オーツミルクは高FODMAP
オーツ麦自体は低FODMAPですが、オーツミルクは高FODMAPとされており、ごく低量であれば繊細なお腹の人でも牛乳の代替飲料として利用できます。(14)
量を気にせずにたくさん摂取してしまうとお腹の不調の原因になる可能性もあるため、オーツミルクを活用する時はご自身の体調と相談しながら生活に取り入れていきましょう。
ロフォマーさんでオーツミルクを試す場合は少量から様子を見ましょう!
代替乳飲料の一覧表

今回は、牛乳を飲むことでお腹の不調を覚える方向けに代替の飲料をご紹介しました。
表にまとめると以下のようになります。
| 種類 | 動物性/植物性 | 乳糖 | FODMAP |
|---|---|---|---|
| 低乳糖ミルク | 動物性 | 低い | 低▼~中▶ |
| ライスミルク | 植物性 | なし | 低▼ |
| アーモンドミルク | 植物性 | なし | 低▼ |
| ココナッツミルク | 植物性 | なし | 低▼ |
| A2ミルク | 動物性 | あり | 高▲ |
| 豆乳 | 植物性 | なし | 高▲ |
| オーツミルク | 植物性 | なし | 高▲ |
「乳糖が含まれているか」に加えて「低FODMAPかどうか」も大事だね!
ご自身のお腹に合う牛乳代替飲料が見つかることを願っています!
まとめ
日本ではまだA2ミルクや大豆抽出物由来の豆乳、ココナッツミルクなどの代替飲料は一部手に入りにくい状況です。
ご自身の生活環境に合わせた調達方法を検討してみましょう。
それぞれの代替飲料には栄養成分の違いや、乳糖の量、FODMAP量などに特徴があります。
体調や体質に合った物を確認し、料理での活用や栄養の補助などの目的別で使い分けして行きましょう。
〈参考〉
(1)
(5)
ラクターゼによる牛乳中の乳糖分解 (第1報) 祐川 金次郎 栄養と食糧/27 巻 (1974) 1 号
(6)
雪印メグミルク アカディ おなかにやさしく HP 商品ご案内
https://www.meg-snow.com/products/detail.php?p=accadi
(7)
日本食品標準成分表2020年版(八訂)品番号: 05001 食品群名/食品名: 種実類/アーモンド/乾
(8)
(9)
中鎖脂肪酸と長鎖脂肪の消化吸収の比較検討,加嶋敬,日本消化器病学会誌,第67巻,第12号
(10)
(12)
A2ミルク協会 A2ミルク商品の販売先
https://www.japan-a2milk-association.or.jp/
(13)
Monash universityMilk alternatives on a low FODMAP diet
CK Yao – Research Dietitian, 06 January 2016
(14)
FODMAP content of milk and milk alternatives
〈参考書〉
・江田証 なんだかよくわからないお腹の不調はこの食事で直せる
・臨床栄養 脳腸相関UPDATE 2023年5月 vol.14 No.6
この記事を書いた人

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東洋物産株式会社 丸寿産業株式会社 代表取締役社長
大分県で業務用食品の卸売業と食品製造業を営む会社の3代目社長。
2020年、周囲にお腹が敏感な体質の人が多いことをきっかけに低FODMAPに関する事業準備を開始。
2022年、低FODMAPに関する情報サイト『みんなの低FODMAPひろば』を立ち上げ。
同2022年、おなかを気づかう人のためのスイーツ&フードブランド『LOFOMA+(ロフォマプラス)』の展開をスタート。






