はじめての低FODMAPシリーズ

みんなの低FODMAPひろば運営チーム
2023.08.07 14:12

FODMAPを知って食生活を考えよう(はじめての低FODMAPシリーズ③)

(このページの更新日:2023年8月7日)

「FODMAPと食生活」の画像です

この記事ではFODMAPの詳細とおなかの問題との向き合い方について解説します。

FODMAPとは

こちらは FODMAP(フォドマップ)について詳しくご案内するページです。

実際に低FODMAPダイエットをするにはFODMAPが何かわかっていないと難しいですよね?

実践するには栄養士の食事指導を受けるのが確実ですが、自分でFODMAPを理解することも大事ですね。

聞いてみたいです!
FODMAPがもっとわかれば生活の中で応用もできますよね?

良い視点ですね。
言葉の意味をくわしく知って理解を深めていきましょう。

「FODMAPとは」の画像です

(ページ下部の参考文献①、②を元に当サイトが作成)

FODMAP=吸収されにくい発酵性の糖質

FODMAPとはおなかの問題を引き起こす、腸で吸収されにくい発酵性の糖質の総称です。

次の4種類の糖質①オリゴ糖類(O)、②二糖類(D)、③単糖類(M)、④ポリオール(P)のそれぞれ頭文字を並べ、Fermentable(発酵性の)という形容詞を先頭に付けてできている言葉です。

これらの糖類に属するすべての種類が問題の引き金となるわけではありません。

例えばオリゴ糖類ではガラクトオリゴ糖とフルクタンという2種類の糖質が主に高FODMAPとされています。また、吸収できる度合いも人によって異なります。

FODMAPによって全ての人のおなかに問題が起こるわけではありませんが、繊細なおなかの人にとってはFODMAPの吸収不全がおなかの問題や痛みにつながることがあります。

以下特徴を見ていきましょう。

F(Fermentable)「発酵性の」

FODMAPのF(Fermentable)は「発酵性の」という意味ですが、糖質の性質を指す意味合いで使われています。

発酵食品全てが高FODMAPという意味ではありません。

日本の代表的な発酵調味料である醤油味噌低FODMAPとされており、醤油は1食あたり42g、味噌は1食あたり12gまでは低FODMAPなことが確認されています。

ただし、一般的におなかに良いとされる発酵食品の納豆ヨーグルトキムチ高FODMAPなので注意しましょう。

以下、それぞれの糖質の特徴などを記します。

O オリゴ糖 (ガラクトオリゴ糖、フルクタン)

【特徴】・難消化性で小腸で消化・吸収できない
【働き】・健康な人では大腸内の善玉菌のエサになる
・繊細なおなかの人ではガス発生などの元になる
【多く含んでいるもの】大豆や納豆など豆類(ガラクトオリゴ糖)
・パンやパスタなどの小麦粉製品全般(フルクタン)
玉ねぎニンニクが特に避けるべき高FODMAP

D 二糖類(乳糖=ラクトース)

【特徴】・牛乳など哺乳類の乳に含まれる糖質
・エネルギー源としてだけではなくカルシウムや鉄の吸収を助け、整腸作用の働きを促す効能がある
・乳糖を分解する酵素(ラクターゼ)がうまく働かない人には吸収しにくい
・日本人の7割が乳糖を消化・吸収しにくい体質と言われている
【働き】・吸収しやすい人では善玉菌を増やす働きや抗肥満作用などが期待できる
・吸収しにくい人ではおなかのゴロゴロ感、ガスの発生、痛みやおなかが緩くなるなどの元になる
【多く含んでいるもの】  牛乳ヨーグルトなどの動物性乳製品
※バターやチーズは脂肪分やタンパク質が主な成分で乳糖が殆ど含まれていない
※プロセスチーズは高FODMAP食材の追加に注意が必要
※上記の物は乳アレルギーのある人は食べられないとされている

M 単糖類(果糖=フルクトース)

【特徴】
・多くの果物に含まれているブドウ糖(グルコース)よりも量が多い場合に吸収が遅くなる

[例]
①マンゴー(100g)の場合
 果糖2g>ブドウ糖1.5g → 果糖の方が多いので問題あり
②キウィ(100g)の場合
 果糖4g=ブドウ糖4g → ブドウ糖より多くないので問題なし

※ブドウ糖とのバランスが取れていてもとり過ぎると腸の負担になるので注意
【働き】・ブドウ糖より血糖値が上がりづらい
・繊細なおなかの人ではおなかが緩くなるなどの元になる
【多く含んでいるもの】  ・果物や野菜(りんごアスパラガスなど)
・はちみつ
・果糖ブドウ糖液糖(コーンシロップなどに含まれている)
ブドウ糖果糖液糖問題なし(ブドウ糖が多いので)

P ポリオール=糖アルコール (ソルビトール、キシリトールなど)

【特徴】・糖の分子とアルコールが結びついたもの
・小腸での吸収が悪い
・語尾が「ール」で終わるものが多い
【働き】・保湿剤としての働きや歯に良い甘味料
・繊細なおなかの人ではおなかが緩くなったり痛みの元になる
【多く含んでいるもの】   きのこ類
・果物や野菜(りんごさやえんどうなど)
・キシリトール入りのガム
※タブレットパッケージに「食べ過ぎるとおなかがゆるくなることがあります」と記載されているもの

糖質の分類ごとで食品の特徴も分かれているので覚えやすいですね!

でも日常生活の中でちゃんと実践していけるか心配です。
まだ知ったばかりなので…。

最初は誰でも不安になってしまいます。でも悲観する必要はありません。

FODMAPを知り、自分のおなかの性格をよく理解することで今までよりも健やかな生活を 送れると思います。

このサイトでは低FODMAPになるように構成したレシピも公開しているよ。
そこで好きな料理を探すのも良いかも!

それは嬉しいです!
献立を考えるのが大変って思ってたんですよ〜!

いまの食習慣を見なおすことがおなかの問題を起こりにくくする第一歩です。

まずは気持ちの面で不安にならないようにしましょう。

おなかの問題と向き合うために

おなかの問題はFODMAPが引き金となることがありますが、生活上の他の要素とも関連があります。

その一つにストレスがあげられます。

脳で感じた過度なストレスが自律神経を介して腸の運動異常を起こすことがあります。

また、腸からの感覚が神経を通って脳に伝わった時に、脳が大きなストレスを感じている場合は知覚過敏になり痛みにつながることがあります。

(このような脳と腸が神経でつながっていて影響し合っている関係を脳腸相関と言います。)

繊細な腸を持っている人は、食事だけでなく以下のように生活習慣を見直すことも問題を起こりにくくする一助になると言われています。

  • 目覚めの良い睡眠をとる
  • 簡単な日記をつける
  • 規則正しく食事を取る
  • 暴飲暴食や早食いをしない
  • おなかが緩くなったり詰まったりするような食材に気を配る
  • 規則正しくトイレに行く
  • 適度な運動を楽しく行う

また、気をつけるべきなのが低FODMAPダイエットがストレスにならないようにすることです。

「高FODMAPを食べてはいけない」、「繊細なおなかだから好きなものが食べられない」などと思い詰めるとそれがストレスになり、かえっておなかの問題が起こりかねません。

繊細なおなかだからといって全ての高FODMAP食品を食べてはいけないわけではありませんし、適量な範囲であれば食べてよい高FODMAP食品もあります。

低FODMAPダイエットを通して自分に合わない糖質を知り、食事に活かすことができるようになれば、おなかの悩みから解放された素敵な生活が幕を開けます!

注意すべきこととして、低FODMAPダイエットは専門家のサポート無しで始めるには難易度が高いというような側面もあります。

こちらに関しては代替案を提唱している専門家もいます。

  • FODMAPの糖質のうち1つを選んで3週間ずつ控える方法
  • 自分が頻繁に食べる高FODMAP食品を1つずつ控える方法
  • 最初に1週間だけ低FODMAPダイエットを実践し、問題が起こりにくくなっているかを見る方法
    (自分のおなかが低FODMAPダイエットが有効かどうかを先ず調べるという試みです)

まずは出来るところから、日常生活の中で部分的に活用できるヒントもたくさんあります。生活習慣や食習慣を見直し気持ちを前向きにして、おなかの調子を良くして行きましょう。

ありがとうございます!
お料理するのは好きなのでレパートリーを増やす気持ちで試してみます。

事務局にレシピの希望を出すこともできますよ。
好きな料理がなかったら リクエストしてみよう!

このサイトを見てくれたひとの腸のおなやみが少しでも軽くなるよう願っています!

低FODMAPなお料理レシピはこちら!

「次のページへ」の画像です

参考文献

①江田証、『腸を治す食事術』、株式会社新星出版社、2020年、40-43 , 118-121

②Sue Shepherd and Peter Gibson , “THE COMPLETE Low-FODMAP Diet” , 2013 , The Experiment ,  28-35

③Kate Scaralata and Dede Wilson , “The LOW-FODMAP DIET Step by Step” , 2017 ,  Da Capo lifelong ,  6-8 , 37-38


このページの監修者

塩田 純也

医学博士・長崎大学病院消化器内科 助教

大分県出身、大分大学医学部を卒業。

2014年長崎大学消化器内科に入局。

2017年アメリカミシガン大学へ留学し基礎研究に従事する。

2020年に帰国、長崎大学病院の消化器内科で幅広く診療を行っている。

患者さんが家庭で実践できる栄養療法について、医師・薬剤師・栄養士と多職種で連携し、患者さんに寄り添った診療を目標に日々奮闘中。

この記事を書いた人

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